【奈良国立博物館特別展 神仏の山 吉野・大峯】鑑賞レポート

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チケットは事前購入がお勧め

奈良博で開催中の特別展【神仏の山 吉野・大峯】に行ってきました。会期は2026年6月7日(日)までです。

チケットは当日博物館でも購入できますが、事前に購入しておくとよりスムーズに入館することができます。現地ではチケットを持っていない人と持っている人とで入場列が分かれます。

私は奈良博公式HPの【展覧会公式オンラインチケット】から購入しました。

公式オンラインチケット
  • メールアドレスにQRコードが送られてくるので当日それを提示する
  • 日付の指定は必要ないので、会期中1回いつでも使用できる

QRコードなのでチケットを印刷する必要もコンビニなどに取りに行く必要もないので楽でした。

現在の混雑ぶり

そろそろ終わりが見えてきている時期なので、これからますます混雑していくことが予想されます。特に土日は結構な混雑になるのではないでしょうか。

もし可能であれば平日をお勧めします。私は水曜日に行きましたが少し(10分ほど)並んだだけで会場に入ることができました。時間帯は午前中のほうがいいと思います。お昼前頃には外の行列が長くなっていました。

展示品については、目の前まで行って鑑賞する必要がある絵画や書などは鑑賞するまでにやや時間を要します。360度見られるように展示されている仏像についてはそこまで待たなくても十分に鑑賞することが可能でした。

ただ全体として混雑しすぎて身動きも取れない、展示品が全く見られない、ということはありません。もしそうなら入場制限がかかると思いますが、そこまでではないというのが平日の状況でした。

鑑賞必須の作品

大峯山寺本堂 蔵王権現立像

私が今回「これだけは見よう」と思っていたのは、大峯山寺本堂内陣の秘仏である蔵王権現立像です。

こちらの像はそもそも秘仏であり定期的に御開帳するというような像ではありません。さらに大峯山寺自体が女人禁制なので、御開帳したとしても必然的に女性が見ることは不可能なのです。

大峯山寺から本尊を移動させるということも相当にレアな機会です。これを逃すとおそらく私は生涯この蔵王権現を見ることはできないでしょう。

もちろん秘仏本尊だけではなく、一緒に展示されている大峯山寺本堂の蔵王権現像数体も、今後この目で実際に見ることは限りなく難しいと思います。なお特別展のパンフレットなどのメインビジュアルになっているのはこのうちの1体(作品名「その1」)です。

会場が混雑していて他の作品が見られなかったとしても、この蔵王権現像を見るというためだけに今回の特別展に行く価値は大いにあると思います。

勝手神社 勝手明神坐像

仏師慶観作であることが判明した、今回初公開の神像です。

勝手神社は女人禁制ではありませんが、やはり定期的に見ることができる像ではないことから今回はかなり貴重な機会であると言えます。

端的に言ってとても上手いです。彫刻作品にはややバランスに難があるものも少なくないのですが、こちらの像は頭が大きいとか足が短いなどといった、バランスが崩れている印象は全くありません。

そうした均衡のとれた姿と眉間にしわを寄せた厳しい顔が相まってかなりの迫力を感じました。見入ってしまうような存在感がありましたね。

印象に残った作品

三佛寺 蔵王権現立像

「投入堂」が有名な鳥取県の三佛寺ですが、そちらに伝わる蔵王権現像です。一見してこんなスタイルの蔵王権現像もあるんだな…と思いました。

蔵王権現の姿は多くが右の手足を振り上げる形をしていますが、三佛寺のこちらの像は右手は上げているものの足は両足とも地面にまっすぐついています。

像全体のバランスという点でいえば足が短く均整が取れたスタイルとは言い難いもので、非常に素朴な印象を与えます。顔も丸く全体的にどっしりとしており、手足を振り上げる軽やかな雰囲気は感じられません。

ですがこの「地方仏」と言えるような素朴な造形に魅せられてしまいました。解説では蔵王権現像の広がりに伴うバリエーションの一例ととらえられるようですが、どことなく可愛らしさも感じられる造形が数ある蔵王権現像の中でも異彩を放っており、目を惹かれました。

金峯山寺 聖徳太子および二童子立像

父の用明天皇が病気の際に回復を祈った姿とされるいわゆる「孝養太子像」です。脇侍の二童子は山背大兄王と殖栗王とされています。

聖徳太子が好きなのでさまざまな太子像を見に行きましたが、こちらの像は非常に迫力のある姿をしています。孝養像は太子16歳の姿とされますが、威厳のある圧力を感じるような像でした。

像高は資料によると159.1cmだそうです。体格もよく展示室内でも存在感が際立っていました。各種聖徳太子像は衣などシンプルな造形のものがほとんどなのですが、簡素さがかえって存在感を大きくしているような気がします。山背大兄王、殖栗王の表情も怖いくらいの迫力があります。

「聖徳太子」という特別な存在を彫刻作品にするにあたり、制作者が普通の歴史上の人物を像にするのとは違う気持ちで制作にあたったことが伝わってくるようです。

大峯山寺 阿弥陀如来坐像

円空仏です。私は円空仏が好きなのでここで会えるとは思っていませんでした。

円空仏特有の丸い顔ににこやかな表情。「これこれ!」と言いたくなるようなザ・円空仏という造形で嬉しくなりました。手の辺りや結跏趺坐する足の辺りは損傷していましたが、顔から上半身にかけては劣化も少なく円空仏の良さがしっかりと保存されていました。

こちらも大峯山寺の像なので実際に見ることができる機会は最後かもしれません。事前に円空仏があるということを知らなかったのですが幸運でした。

像高は資料によると74.8cm、円空仏には小型のものもたくさんありますがこちらは大きめの像で見ごたえもありました。ずっと見ていたくなるような円空仏のほんわかした空気を存分に感じられました。

私が仏像好きなので彫刻作品ばかりですが、絵画・工芸・書作品も充実していました。

金峯山寺 金剛力士立像(仏像館)

金峯山寺では仁王門の修理を行っており、それに合わせて仁王門に安置されていた金剛力士像(仁王像)二体が奈良博に来ています。

写真撮影が許可されていました

金峯山寺仁王門の仁王像(阿形)。奈良国立博物館に寄託され、仏像館に展示されている姿。
阿形
金峯山寺仁王門の仁王像(吽形)。奈良国立博物館に寄託され、仏像館に展示されている姿。
吽形
金峯山寺仁王門の仁王像(阿形・吽形二体)。奈良国立博物館に寄託され、仏像館に展示されている姿。
像高約5mなので大迫力です

仁王像は基本的に仁王門の決まった場所に安置されているので、360度見られる機会は意外とありません。金峯山寺に戻った後ももちろん見ることは可能ですが、こうした開放感のある場所で見上げられるのは貴重な機会だと思います。仁王門で見るよりも像の大きさがより感じられました。

こちらの仁王像は特別展終了後も仏像館で引き続き見ることができます(令和8年9月13日まで)。

特別展の図録はお勧め

今回の特別展の図録は3,200円というややお高めの値段ではありますが、購入をお勧めします。

展示品のカラー写真や解説はもちろんですが、何といっても大峯山寺の秘仏本尊である蔵王権現立像のカラー写真が掲載されていることが大きいです。

さまざまな番組で今回の特別展に関する特集をやっていましたが、映像として秘仏本尊が出てくることはありませんでした。その姿をカメラで映すという行為が憚られるものだからです。

徹底的にテレビには映さないという姿勢から、私は図録にも秘仏本尊は掲載されていないと思っていました。しかしこの図録に掲載されていることを現地で確認したので迷わず購入しました。

図録への掲載は個人的な想像ですが、「研究」の要素が強いものだから許されているのかなと思いました。見せ物ではなく文化財を保護・継承していくための一環に位置づけられるものと言えます。図録には掲載されていましたが、ポストカードやそのほかのグッズ関係には秘仏本尊の姿を用いた物は一切ありませんでした。

なかなかお目にかかる機会のない秘仏本尊の姿を手元に置いておけるというだけでも、特別展の図録を購入する意義はあると思います。現地では問題なく購入できますが、オンラインショップでも購入できるようです。

まとめ

奈良国立博物館特別展「神仏の山 吉野・大峯」で展示されているロサンゼルス・カウンティ美術館の蔵王権現立像
撮影可能なロサンゼルス・カウンティ美術館の像

奈良博特別展「神仏の山 吉野・大峯」について書きました。

秘仏本尊蔵王権現立像の姿を見られる相当に貴重な機会です。特に女性は境内に立ち入ることもできないので、この機会が唯一といっても過言ではないと思います。

残り約二週間ですが、お時間のある人はぜひ足を運んでみてください。

以上で終わります。

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