第六番札所 壷阪寺
壷阪寺の縁起

壷阪寺は大宝3(703)年、元興寺の弁基上人が山中で修行をしていた際愛用の水晶の中に観音を感得、水晶をここの山中に埋めて観音像を祀ったことに始まると言われています。
その後元正天皇の時代(715~724年)に勅願寺となり、「南法華寺」の寺号を与えられました。

広い境内には本尊の千手観音像のほか数々の仏像が安置されています。またインドへの支援事業を通して招来された大石像仏が各所に安置されており、「壷阪寺天竺渡来大石像巡り」を楽しむこともできます。さながら「祈りのアトラクション」とも言えるような空間となっていました。
拝観案内
- 入山料:800円
- 駐車場:30分300円

駐車場は入山受付の目の前にある第1駐車場や霊園駐車場などがあります。

より近いのは第1駐車場です。霊園駐車場からは少し歩きますが大した距離ではありません。どちらも30分ごとに300円で、霊園駐車場はキャッシュレス専用の駐車場でした。
境内は広くじっくり散策するのであれば30分ではとても足りません。駐車料金がやや高くなってしまうと思いますがそれも含めての参拝をお勧めします。
札所本尊
本尊十一面千手観音菩薩像は室町時代の作
本尊である千手観音像は本堂(八角円堂)に安置されています。

なんと壷阪寺では仏像の写真撮影がOKなのです(フラッシュや三脚の仕様は不可)。


現在の像は室町時代の作ですが、もともとのご本尊を模して造られた仏像なのでしょう。室町時代ということもあり造形は洗練されているとは言い難い部分もありますが、重厚で迫力のある姿でした。
見ている人を力強く救ってくれるような雰囲気が、壷阪寺の様々な言い伝えや現在まで続く福祉事業の土台にある精神を表わしているように思えました。
またこちらの観音像は「眼病治癒」の仏像としても信仰されています。

「眼の観音さま」という信仰が現在まで続く福祉事業の根本精神となっています。
御朱印・御影札


「藤原京の聖なるライン」に位置する壷阪寺
壷阪寺はこれでもかというくらい寺宝を展示してくれており、見どころが本当に多いお寺です。正直に言って見きれません…。ここ本堂だけでも数々の展示品が所狭しと並んでいました。
その中で「聖なるライン」に関する説明が目を惹きました。

この図にあるように「聖なるライン」とは、藤原京のメイン通りとなる朱雀大路を通る南北の軸線を指しています。この線上に「天武・持統朝」に関わる宮や陵墓が並んでいるということが指摘されているのです。
具体的には
- 藤原京(天武・持統天皇による造営)
- 野口王墓古墳(天武・持統天皇陵:宮内庁治定)
- 中尾山古墳(文武天皇真陵?)
- 高松塚古墳(天武天皇皇子墓?)
- キトラ古墳(天武天皇皇子墓?)
が朱雀大路の延長線上に並んでいるということになります。
野口王墓古墳は天武・持統陵として宮内庁も治定しています。天武・持統の孫である文武天皇については宮内庁の見解とは異なりますが、天皇陵として中尾山古墳の可能性が高いことが指摘されています(上記図の「文武天皇陵」は宮内庁治定の陵です)。
高松塚及びキトラ古墳の被葬者はさまざまな説がありますが、天武天皇の皇子であるという指摘もなされています。高市皇子・忍壁皇子・弓削皇子などが挙げられています。
こうした天武・持統朝に関わる陵墓の先に、壷阪寺が位置しているということがここで指摘されているのです。
本堂(八角円堂)は持統天皇を弔うため?

ここで指摘されているのは、
- 壷阪寺創建の703年に持統天皇の火葬が行われている
- 八角円堂は弔いのためのお堂
ということです。
現在の壷阪寺本堂は江戸時代のものですが、基壇から創建当初より八角堂であったことがわかっているそうです。つまり藤原京の「聖なるライン」の終着点にあたる壷阪寺こそが、持統天皇を弔うために建てられたと考えることができるのです。
もちろんこの説には異論もあるのでしょうが、大変面白いと思いました。「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産になり藤原京跡も人がたくさん来ることが予想されますが、この「聖なるライン」の終着点にあたる壷阪寺にまで足を延ばして「聖なるライン」について考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
壷阪寺天竺渡来大石像巡り
壷阪寺の境内各所には巨大な石像仏が安置されています。これらの像はインドとの福祉事業を基にした交流から石が運ばれ造像されたものだそうです。石像仏を巡りながら各所に設置されている御朱印をすべて集めると、受付で記念品をもらうことができるようです。
今回は「観音霊場」としての参拝だったので御朱印集めはしなかったのですが、大石像仏は見てきたので紹介しておきます。
大観音石像



観音像を造った際に残った石で作成された観音の「手」とのことで、訪れた人がふれることができるようになっています。こうした優しい精神を随所に感じることができるお寺でした。
釈迦如来大涅槃石像

観音像が見守る位置に涅槃像…。なんだかほっこりしました。


大釈迦如来石像(壷坂大仏)と諸菩薩




この「壷坂大仏」は、桜の季節になると大仏が桜をまとったような姿になることで有名です。

桜の季節にこの位置からぜひ見てみたいですね。
まとめ:優しい祈りが息づくお寺
第六番札所壷阪寺について書きました。
- 本尊十一面千手観音菩薩像は常時拝観可能・撮影もOK
- 別途拝観料は不要
ということでした。
目を患っている人々を救済するという観音への信仰を基にした、優しい精神が随所に感じられるお寺でした。

ところで壷阪寺には「寺猫」がいるのですが、参拝を終えて帰る際に受付で会うことができました。

この日はこの子にしか会えませんでしたが、お寺には何人か(あえて「人」)いるみたいです。
猫の柔らかさにもお寺の優しさが反映されているようでした。触らせてくれてありがとう!
以上で終わります。

