2日目に行ってきました
特別展概要
現在開催中の東京国立博物館特別展【空海と真言の名宝】へ行ってきました。
- 会場:東京国立博物館 平成館
- 会期:2026年7月14日(火)~9月6日(日)
本展は2023年に空海生誕1250年を迎えたことを記念して企画された展覧会です。空海や密教に関わる仏像や図像、空海が始めた儀式である「後七日御修法」の一端に触れることができる宝物、そして拝観する機会のあまりない秘仏などが出展されており、非常に見ごたえのある展覧会でした。
チケットは事前購入がお勧め
当日思い立って行く場合を除き、チケットは事前購入しておくと便利です。今はオンラインで、かつ発券なども必要ないQRチケットが利用できるようになっています。
公式ページのチケット購入方法について
私は会員登録も発券も必要のない「ART PASS」で購入しました。メールアドレス宛に送られてくるQRコードを会場で提示すればいいだけなのでとても便利で楽でした。
公式ページにも書いてありますが、当日会場入口でチケットを購入しようとすると時間帯によっては並ぶ必要が生じ余計に時間を使います。さくっと入場するためにも事前に購入しておくのがお勧めです。
混雑状況
東博はいつも混んでいるので会期中のどのタイミングがいいか悩みました。結論として夏休みやお盆休みに入る前、かつ会期終了間近にならない時期=会期序盤の平日を選択しました。
7月15日(水)開館時間(9:30)に行きましたが、正門→平成館の展覧会入口に入るまで、正門で少し並び、平成館でも少し並ぶ…という感じでトータル15分くらいの所要時間で済みました。
平成館入口では少しずつ区切って来館者を入場させていたので、混雑はしていたものの展示室内でもゆとりをもって鑑賞することができました。
また私は11時半くらいに会場を出ましたが、その際には平成館に列はできていませんでした。会期序盤の平日であれば、お昼頃に来れば一切並ばずに入場できるかもしれません。

土日祝はここまでスムーズにはいかないと思うのでご注意ください
先日行った奈良博の特別展では会期終盤に差し掛かる時期に行ったので、平日でも結構な行列ができており会場内も混雑していました。状況が許すのであれば会期序盤に行ってしまうほうがいいのではないかと思います。
奈良博の鑑賞レポート
大門寺 如意輪観音菩薩坐像
最も見たかった仏像・大門寺如意輪観音菩薩坐像(秘仏)
今回日帰り弾丸ツアーをしてまで東博へ行ったのは、大阪府茨木市にある大門寺の如意輪観音像のためでした。「秘仏開帳」という番組でその存在を知り、東博に出展されることを知って必ず特別展に行こうと決心していました。
画面越しでも心惹かれる如意輪観音でしたが、実物は吸い込まれそうなオーラを纏っており、なかなかその場を立ち去ることができませんでした。
購入した図版の解説によると像高58.6cm、台座を含む全体を一材から制作した一木造の像で11世紀頃の作であると考えられています。
この像の面白いところは、光背や宝冠の文様が彫刻ではなく墨で描かれていることです。長らく秘仏だったこともあり11世紀の作とは思えないほどはっきりと墨の線が残されています。眉や髭なども墨で描かれ唇も赤く彩色されていますが、それ以外に彩色や装飾は施されていません。これは「檀像」を模して制作されたためであるとされています。
檀像とは白檀で彫った仏像のこと。インドではその性質から白檀は仏像を造像する最高の木材であるとされていた。中国では輸入材により制作された檀像も多く日本に渡ってきた作例も見られる。白檀が育たない日本では代用材で檀像を造ることも行われた。※『岩波仏教辞典 第二版』参照
如意輪観音といえば真っ先に思い浮かぶのが「観心寺」の如意輪観音像です。
観心寺の秘仏「如意輪観音」についての記事
観心寺像は800年代半ばころの作とみられますが、妖艶な姿に備わる一種の凄みといった雰囲気があり、私個人は気軽に近づくことが憚られるような感覚を覚えました。
一方同じ如意輪観音である大門寺像は、そうした「畏れ多い」という感覚がないんですよね。六本の腕を持ち片膝を立てて思惟する姿、という点では観心寺像も同様なのですが、大門寺像は妖艶さもありがながら「凄み」ではなく「気だるさ」が勝っているように感じられます。
両像を比較すると観心寺像は「思惟」というほど顔を傾けていないことがわかりました。観心寺像は「一臂を顔に添える」という感じで、大門寺像は「一臂に顔を預けている」ように見えます。その点が大門寺像の「気だるさ」に繋がっているのかもしれません。
「気だるい」というとやる気がないようなニュアンスにもなりかねませんが、当然ながらそうは見えません。仏像としての神秘性と密教仏としての妖艶さを保ちながらも見る側の気持ちを緩めるようなくつろいだ雰囲気を纏う像…。なかなか得難い存在なのではないでしょうか。



頑張って書きましたがやっぱり言語化は難しいですね
今後見られる機会はないかもしれない
大門寺の如意輪観音像を知った番組内で説明されていましたが、本像は少なくとも明治時代以降一度も御開帳されていないそうです。
軽々しく厨子を開けてはならないという代々の住職の教えがあるそうで、今回東博の展覧会に出展されたことは相当に貴重な機会であるといえます。
大門寺の公式HPを確認しましたが今後の御開帳についてなどの情報はなく、本展覧会終了後はいつ拝観できるかわかりません。これまでの経緯を考えると今後拝観する機会がない可能性もあります。
貴重すぎる機会であることは間違いないので、興味がある方は会期中にぜひ行ってみてください。
後七日御修法
空海が始めたとされる「後七日御修法」は天皇の衣を加持して「玉体安穏」や「国家安寧」を祈る秘儀です。かつては宮中で執り行われていましたが、現在は東寺の灌頂院で営まれています。儀式の様子は一般公開されていないため見たり参加したりすることはできません。
「後七日御修法」という儀式が存在することは知っていましたが、具体的に何をするのか、どういう状態で執り行うのかということは知りませんでした。今回の展覧会(第二章)では「後七日御修法」の世界を詳しく説明してくれており大変興味深かったです。実際の儀式で用いられていた本尊や図像、儀式の形式を説明した絵図などが展示されていました。
また儀式の一部ではありますが、東寺における現在の儀式の様子が映像として公開されていました。よく撮影が許可されたな…と思います。昔の絵図や文書、そして現在の映像が残されることで今後も「秘儀」が受け継がれていくんだなと思うと尊いですね。
撮影OKの仏像
会場の最終地点には撮影可能な仏像が展示されていました。






「天弓愛染明王」と呼ばれるこの姿、私は彫刻作品では初めて見ました。平安後期の像ということもあり、弓矢を構える姿をしてはいても穏やかで優しい雰囲気を持つ明王でした。






平安時代初期の造像とされる五智如来像で、図版の説明によれば848年~859年の間の造像であると考えられているそうです。
空海が亡くなったのが835年ですから、没後さほど年数が経っていない時期に造像されていることになります。説明にあるように空海の孫弟子である恵運ですが、空海同様入唐して密教を学んでいます。
五智如来像といえばやはり東寺講堂の立体曼荼羅が思い浮かびますね。立体曼荼羅全体の完成は空海没後ですが、その構想は空海自身によるものです。安祥寺の場合は恵運が主導したものですが、思想的には空海の密教体系を継承した系譜に属し、空海の影響が及んでいると考えられます。
空海のもたらした密教思想が脈々と受け継がれていることが伝わってくるようです。
まとめ
ほんの一部ではありますが、東博の特別展について書きました。
他にもたくさん目を惹く仏像はあったのですが、大門寺の如意輪観音像について書いただけで力尽きました…(笑)。
そういえば先日京都府長岡京市の乙訓寺で公開されていた秘仏「毘沙門天立像」も出展されていました。展示品をちゃんとチェックしていなかったので現地で対面してびっくりしました。嬉しい再会でした。東博ではより近くで細部まで見ることができたのも嬉しかったです。
乙訓寺の毘沙門天立像についてはこちら


色々なお寺の仏像に会いに行っていると、こうした嬉しい再会もあるんだなと思いました。仏像と展覧会を巡る旅はまだまだ続けたいですね。
まだ始まったばかりの特別展、機会があればぜひ訪れてみてください。
以上で終わります。

